たぶん動く...

多分GIS系の人。あくまで個人的見解であり、所属団体を代表するものではありません。

pythonで火星まで行ってみる(その3)

前回は火星に探査機を打ち上げるタイミング、必要なエネルギーについて計算してみました。
かなり専門的な話で難しかったかな? 今回はいよいよ火星に至る軌道を計算してみたいと思います。

今回も以下の本とウィキペディアを参考にしています。

惑星探査機の軌道計算入門

惑星探査機の軌道計算入門

  • 作者:半揚 稔雄
  • 発売日: 2017/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

火星至る軌跡(mars 2020 Perseverance を例に)

NASAのmars 2020 Perservaranceが資料が入りやすく、計算に必要な数値が得やすいので、Persevarance(パーサヴィアランス?パーサーバランス?)を例に計算していきます。
Persevaranceが火星に到着する日がNASAサイト より公開されていました。
サイトによれば火星到着はアメリ東部標準時で2021年2月18日15:30(日本時間2月19日5:30)です。
打ち上げの日(2020年7月30日)から理想的な軌道を通り、2021年のこの日に火星に到着するとして計算していきましょう。

ホーマン遷移軌道

地球を中心の座標系として、地球と火星に至る軌道を考えたとき、地球側を近日点(軌道面で一番地球に近い点)、火星側を遠日点(軌道面で一番地球から遠い点)と設定すると一番エネルギーが少なくて済むことが知られています。これをホーマン遷移軌道といいます。 英語版のページ のほうが詳しいです。
それでは今回もpoliastroを使用して計算していきます。

地球-火星間の遷移軌道を計算する

ほぼpoliastroのチュートリアル に日付を変えれば大体できます。

gist.github.com

最後のセルだけgithub gistに載せる都合上、コメントアウトしました。(3Dのプロットには対応していないらしい。)
最後のセルを実行すると以下のような図が出力されるはずです。
青線が地球の公転軌道、橙色の線が火星の公転軌道、黒線が遷移軌道になります。

f:id:TTY6335:20200927211943p:plain
地球から火星への軌道遷移

まとめ

ここまで地球から火星に至る探査機の軌道をMars 2020 Persevaranceを例に計算しました。 今回も難しかったでしょうか。
計算に必要な前説をかなり飛ばしているので、自分で勉強してみてください。高校物理を理解していれば大体理解できるかと思います。
今回計算した通りには必ずしもPersevaranceは飛んでいないと考えます。というのも、軌道修正が入ったり、ロケットから軌道に投入する時間、また火星に着陸するための減速を考慮していないためです。 今回の計算通りに火星に接近した場合、火星の周回軌道に乗るだけか、火星の地表に激突して終わります。
機会があれば、Persevaranceが今どの辺を飛んでいるのか計算してみたいと思います。今回は使用したモジュールが軌道を表示するだけのモジュールらしくて、位置と速度を持っていないっぽい。少し勉強しないとわかんない。

参考文献

en.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

docs.poliastro.space